通常の賃貸と違うの?DIY型賃貸のメリット・デメリットと契約の流れ

築年数が10年20年と経過した物件で賃貸経営を始めたいけれど、リフォーム費用を出すことができないとお悩みの不動産オーナーは多いです。また、他の物件と差別化できずに入居者募集に苦戦する方も少なくありません。そのような悩みを抱えた不動産オーナーにおすすめしたいのが、DIY型賃貸物件です。実際にどのような流れの契約をすることになるのでしょうか?ここでは、契約の流れについて解説します。

DIY型賃貸とは

DIY型賃貸物件とは、入居者自身が好みに合わせて、部屋の壁紙を張り替えたり、造作家具を造ったりできる賃貸物件のことをいいます。国土交通省の定義では「借主の意向に反映して住宅の改修工事が行える物件」のことをいいます。

DIY型賃貸契約の流れ

通常の賃貸物件の契約の流れとは異なるので、まずは、流れについて良く理解を深めておきましょう。

DIY工事概要を貸主側に伝える

DIY型賃貸で物件を貸し出す場合に、トラブルを防止するためにも、どのような工事を許可とするのか貸主側に伝えなければいけません。また、区分マンションなどの場合は管理会社側にも確認を取っておけなければいけないので、勝手に話を進めないように気をつけましょう。良く話し合いDIY工事概要を作成していきます。

賃貸借契約を締結する

契約書にDIYに関する特約を設けて、そこに認める工事内容や管理運用などについて細かく記載していきます。この特約について双方間で同意を得ないまま契約してしまうと、後でトラブルが発生してしまいかねません。そのため、特約の内容は、借主側が理解できるように説明して同意を得てから、契約を締結するようにしましょう。

リフォーム工事を行う

入居前に借主側が工事を行っていきます。自分自身でDIYを実施する方もいれば、工事業者にリノベーションを依頼する方もいますまた、工事中は貸主側も立ち合いできるようなら、立ち合いをして、工事に問題がないかを確認してください。

入居中は借主が管理修繕を行う

借主が入居している場合は、借主が責任を持って修繕します。自分の好みに見合った理想的な暮らしを実現できるのが物件の魅力ですが、修繕費は自己責任となるのが弱点となっています。

退去時は貸主がDIY工事部分の精算を行う

築年数が経過した物件の賃貸経営におすすめのDIY型賃貸ですが、退去時の原状回復工事は不要と定めることが多いです。本来の建物の価値が損なわれるほどの大きな破損などをしている場合は、補修工事費を求めるかどうか、契約を締結する前に特約の中で決めておくことが大切です。

DIY型賃貸のメリット

DIY型賃貸経営をすれば、次のようなメリットが得られます。

空家対策になる

自分好みの暮らしを実現できるのはマイホーム所有者の特権だと捉えられてきましたが、DIY型賃貸の登場によって、賃貸物件でもその夢を実現できるようになりました。実際に、室内を自分好みに大きく変えたいという入居者も一定数います。

しかし、管理会社と打ち合わせをして工事概要を定めたりしなければいけず、知識やノウハウも必要になるため、DIY型物件の不動産オーナーをする人は少ないです。そのため、競合物件が少なく差別化につながり入居者募集がしやすく空家対策が行えます。

初期費用が安く抑えられる

通常、築年数の古い物件を賃貸に出す場合はリフォームしなければいけませんが、借主負担でリフォームしてもらうため、初期費用が安く抑えられます。そのため、相続した実家の建物で賃貸経営したいけれど、初期費用がかけられないと悩みを抱えている不動産オーナーから人気を集めているのです。

長期入居が見込める

自分の理想の暮らしを賃貸物件で叶えられるのが最大の魅力となっていますが、自分好みの部屋に作り上げていくことで、自然と部屋に愛着が湧いていくものです。趣味の部屋などにして楽しむ入居者が多いため、比較的、長期的に住む方が多いのもDIY型物件ならではの特徴となっています。

SNSを活用した入居募集ができる

DIYブームが到来していてSNSでもDIYに関する投稿をしている人が増えています。その中でも人気なのが、施行事例です。経営をしていけば、さまざまな施行事例が得られます。どの部屋も借主側の想いが込められたオシャレな部屋ばかりなので、借主側の許可が得られれば、SNSを活用した入居募集も行えます。

補足:借主側のメリット

借主は、自分好みの部屋に改装することができて、多くの場合は原状回復工事も必要ありません。従来の賃貸物件では、内装は変えられないという基本ルールで運用されていますが、DIY型賃貸は、それを自由に行うことができます。そのため、ライフスタイルに合わせた仕様にすることができます。借主側も、自分好みのDIYができるため、コストを抑えて持家のような感覚で住めます。

DIY型賃貸のデメリット

DIY型賃貸はメリットがありますが、以下の点に注意しなければいけません。

契約が煩雑しやすい

契約では、どの程度の範囲の工事が行えるか、設備の損失などの補修費用はどちらが負担するか、原状回復時はどちらが負担するかなど細かく決めないとトラブルが発生してしまうので注意しなければいけません。通常の契約よりも気を付けなければいけません。

トラブルを懸念しなければいけない

工事は借主に任せきりにするのではなく、事前確認や工事後の確認が必要です。構造躯体や設備を損傷しないように注意することが必要になります。また、工事中は近隣の方に迷惑をかけることになるので、近隣住民の方への挨拶もしなければいけません。

借主側の需要が少ない

賃貸型物件を取り扱っている不動産オーナーは少ないです。実際に、入居者も設備や内装がある程度キレイな部屋に住みたいという方が多いです。そのため、需要自体が少ない傾向があります。しかし、DIYブームが到来しているので、そのような方リーチすれば、入居募集も安易に行えるでしょう。

まとめ

この記事では、DIY型賃貸の魅力について解説しました。空き家の数は増えてきており、築年数の古い物件は、なかなか入居者が見つかりにくいです。新築物件が周辺環境にあると、築年数が古い物件は入居者募集が難しくなります。また、内装工事をしなければ、なかなか入居者が見つかりません。しかし、リフォーム費用が出せないという方もいるでしょう。このような悩みを抱えた場合は、ぜひ、DIY型賃貸物件も視野に入れてみてください♪